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March 26, 2006

バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (1) <吉川英治 /井上雄彦>

バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (1)バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (1)
吉川英治 /井上雄彦
講談社 刊
発売日 1999-03

バガボンド凄いです
井上先生の新境地ですね。
これからが楽しみです・・・

これこそが革命マンガだ! 2005-02-23
 歴史小説「宮本武蔵」(吉岡荘八・著)を原作とした、重厚な物語を基盤としたマンガである。著者・井上雄彦氏は、出版10年以上経た現在でも爆発的な支持を受けている「スラムダンク」(集英社)などの作品でも知られている。
 「バガボンド」の特徴を言えば「文学的、重厚的」ということであろう。「小説が原作なのだから、それは当たり前ではないか」と思う人がいるかもしれない。しかし小説の登場人物の性格・心理描写・行動・物語の展開といった複雑な過程を、「平面的な絵」の上に表現することは並大抵の技術ではできない。しかし、作者はそれを見事なまでに成功している。神業的とさえ言えるだろう。
 一人一人が人生の「過去」を背負って、「現在」を生きている。それは一つの「物語」である。宮本武蔵の「物語」、又八の「物語」、お通の「物語」、そして後々登場する佐々木小次郎の「物語」・・・・。そしてそれぞれの運命が交錯していき、一本の「物語」へとつながっていく。宿命ともいえる雄大な「物語」である。
 原作に全く忠実に描かれているわけではない。辻風黄平や佐々木小次郎の物語設定は、その一つであろう。原作と違う点を出す事によって、違った世界観や人生観が出ていて面白い。漫画家の筆によって登場人物が息を吹き込まれ、展開していくストーリーは見ごたえがある。普段は小説しか読まない人にも是非お勧めしたい本である。それほど完成度は非常に高い! 
  

侍魂。 2004-10-07
待ってましたと云わんばかりのこの作品。
井上氏の独特の世界観が見事に宮本武蔵の世界にマッチしていて、
まさに人間の肉体美。本当に美しく、その妖艶さに見惚れるほど・・・
文字は少なく、画集のような感じもまた良し。
歴史の勉強になるかどうかは別として、日本人なら是非読んで欲しい!

英語には擬音がないのか? 2003-04-30
武蔵の「俺を殺す気なら殺してやる」みたいな決めゼリフは、とてもすんなりと英語になじんでいると感じました。ただ色っぽい大人の女性の「いけない人だねぇ」とか、老婆が言う「かんねんしやい」みたいな、日本人にとっても「日本語っぽいねぇ」と思えるセリフは、英語になると味気なく感じます。なにより気になって仕方がないのは、例えば馬が「ドドドッ」と走ってくるところの擬音が"tromp tromp"だったりと、擬音のすべてがしっくりこないところです。
英語のシンプルさと、日本語の複雑さを再確認した気がしました。

アノミーの世界で 2004-05-23
いまでこそ3500万部突破などという驚異的な売れ方をしていますが、発売当初に井上雄彦さんが、「宮本武蔵」を題材にあげることの意味がわからないという疑問が大方でした。『スラムダンク』であれだけの熱狂を起こし充電期間を経た後だったからよけいです。でも、こうして既刊を読み通してみると、その意図がよくわかる。武蔵の時代は関が原が終わり、徳川統治300年の退屈な日常が訪れる、かつ戦国時代という下克上の秩序が急速に失われていく日本社会の大転換期です。いままでの常識が通じなくなり、政権の移動などダイナミックの歴史の波は停滞します。織田信長や豊臣秀吉などの個人が武勲を立ててヒーローになる時代は終わりを告げようとしていました。そういう退屈な日常の世界は、たけぞうのようなアウトサイダーにとっては、窮屈で生きにくい時代でしょう。そんな時代の中で、「自分」というものの方向性や居場所が不明確で混乱している彼は、生きるのが苦しくてしかたがない。戦争がないから社会も彼を必要としてくれない。はたして彼が生きていく意味と価値はあるのか?。武蔵は、旅と剣を通して、自分の人格を確立していく「道」を求めるようになります。これは正統なビルドゥングスロマンであり、かつそれ実践した歴史上の人物がいるというリアル感も、すごいものがある。いまの時代の退屈さの中で、社会規模ではなく個人が解放と自分の居場所を見つけるために、あがくたけぞうの姿を描くことは、強い共感を得ることは必定だと思うのです。この時代の武芸者やかぶきものたちは、すでに社会のヒーローとなることよりも個人の人格の充実を優先している節があります。柳生にせよその他の放浪者にせよ。たぶん、ほんの20年前の戦国期ではありえないことでしょう。終わらない日常で、人格を充実して生きるすべが描かれているような気がします。
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